フィラリア症とは?蚊が運ぶ“見えない脅威”にご注意

予防薬

「フィラリアの薬って、いつから始めて、いつまで続けるの?」

「うちは蚊が少ない地域だから、予防しなくても大丈夫?」

動物病院では、こんな質問をよくいただきます。

でも、フィラリア症は命に関わる深刻な病気。予防がとても大切です。

この記事では、獣医師としての立場から、フィラリア症の基本から、正しい予防の考え方まで、わかりやすくお伝えします。

フィラリア症とは?蚊が媒介する”見えない”病気

フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊によって犬や猫に感染する寄生虫です。

感染すると、寄生虫が心臓や肺の血管に入り込みます。主な症状は次のようなもの。

  • 呼吸困難
  • 元気がない 

最悪の場合は死亡することもあります。

さらに怖いのは、感染しても初期はほとんど症状が出ないこと。

気づかないうちに進行し、重症化してから見つかるケースあります。

感染の仕組み|室内飼いでも安心できない理由

蚊に刺されることで感染が始まります。

感染の流れは次のようなものです:

  1. フィラリアに感染している犬を蚊が刺す
  2. 蚊の体内でフィラリアの幼虫が成長
  3. 幼虫が体内に入り、半年〜1年かけて心臓や肺に寄生する

[フィラリアの感染サイクルについての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください(※現在準備中です)→[フィラリアの感染サイクルについて解説]

「室内だから安心」と思われがちですが、蚊は家の中にも侵入します。

特に夏場は網戸や玄関から入ってきた蚊に刺されるリスクも。

さらに、春や秋など出かけやすい季節は蚊に刺されるリスクが上がると考えられますね

フィラリアの予防時期はいつ?目安の時期を解説

地域によって差はありますが、蚊が出始めてから1ヶ月後〜蚊がいなくなって1ヶ月後までが目安です。

たとえば東京都なら、5月末〜12月末ごろが一般的な予防期間。

地域や気候によっても変わるので、動物病院での相談が安心です。

予防薬は“飲めば防げる”ものじゃない?駆虫薬ってどういうこと?

意外と知られていませんが、フィラリア予防薬は感染“前”に防ぐものではありません。

実は、「感染してしまったかもしれないフィラリアの幼虫を駆除する薬(駆虫薬)」です。

つまり、毎月欠かさずに与えることが前提なんです。

1回でも飲み忘れると、感染した幼虫が成長してしまい、血管や心臓への侵入を許してしまうことに。

もし血管や心臓にフィラリアがいる状態で薬を飲ませてしまうとショック症状を起こしてしまう恐れがあり危険です!

薬を飲ませる前に!フィラリア検査が“毎年必要”な理由

犬では、ショック症状を起こす危険性をあらかじめ予測するために検査する必要があります。

検査方法は専用のキットを使用することが一般的で、他にも顕微鏡で直接血液を観察する方法もあります。

検査には採血が必要ですが、キットの検査で必要な血液は1滴で充分なので、犬への負担もほとんどありません。

猫の場合、今のところ確実な検査方法がなく検査を実施しないのが一般的です。

[猫のフィラリア症についての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください(※現在準備中です)→[猫のフィラリア症について解説]

検査はなぜ毎年必要なの?

「検査って毎年しなくちゃいけないの?」

これはよく聞かれる質問です。

結論として検査は毎年必要です。1年間通して予防薬を飲ませた場合はほぼ確実に予防出来ていますが、予防薬を飲ませていたのに感染していたというケースも報告されています。

原因として考えられるのは、

  • 知らない間に吐き出していた
  • 予防薬が効かない段階の幼虫が残っていた
  • 体重の増加などにより血中濃度が不十分だった

などが考えられます。

予防薬は何を飲ませたらいいの?犬も猫もオールインワンタイプがおすすめです

犬はチュアブルタイプの予防薬が主流です。特に最近はノミダニやお腹の虫に対しても予防効果のあるオールインワンタイプが人気です。

オールインワンタイプは飼い主さんと犬の両方の薬を飲む負担を減らすことができるのでおすすめです。

その他、注射タイプの予防薬もあります。これは一度打つだけで1年間予防効果が続くもので、投薬が難しい子や、混み合う時期に病院に来たくない飼い主さんに人気です。

猫の場合はスポットタイプだけがあります。こちらもノミダニやお腹の虫に対する予防効果があるものが人気な印象です。

室内飼いでも油断禁物!猫のフィラリア症と予防法

猫もフィラリアに感染します。

ただし、犬と違って症状がはっきりしないことが多く、発見が遅れやすいのが特徴です。

よくある症状には次のようなものがあります。

  • 咳、呼吸が荒い(喘息に似た症状)
  • 嘔吐や元気消失
  • 突然死

「室内飼いだから平気」と思いがちですが、蚊が1匹いれば感染するリスクはゼロではありません。

まとめ|大切な命を守るためにしっかり予防を

フィラリアは“見えない病気”だからこそ、毎月の予防が重要です。

✅ 予防期間は地域により異なるが、東京では5月末〜12月末ごろ

✅ 予防薬は“駆虫薬”なので、毎月欠かさず与えることが大切

✅ 室内飼い・猫でも予防は必要

✅ 不安があれば動物病院で相談を

これらのポイントを押さえて1年間の予防を続けていきましょう!


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