SFTS(重症熱性血小板減少症)とは?猫や犬、そして人にも感染する危険な病気です。
最近では、猫を診察した獣医師がSFTSに感染して亡くなったというニュースが報道され、大きな反響を呼びました。
SFTSは人にも犬猫にも感染し、死亡率が高い非常に危険な感染症です。
本記事では、SFTSの症状・感染経路・予防法について、飼い主さんが知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
SFTSとは?人にも犬猫にも感染する“命に関わる”ウイルス
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)はSFTSウイルスによる感染症で、マダニを介して犬や猫、人に感染します。最近日本でも発生が増えてきており話題になっています。
感染症法で四類感染症に分類され「動物や飲食物を介して」人へ感染する病気で、「人から人へ」感染する恐れはありません。
原因はマダニ!SFTSの感染経路と注意点
病原体
SFTSウイルス:フェニュイウイルス科バンダウイルス属に属する1本鎖RNAウイルス
出典:国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ
(https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/sfts/index.html)
RNAウイルスとは遺伝情報にDNAではなくRNAを用いるウイルスで変異しやすく様々な感染症を引き起こす一方で、一部のウイルスを除いて消毒薬や熱に弱いものが多いです。
SFTSウイルスの有効な消毒方法
- 70%エタノール
- 0.5%次亜塩素酸ナトリウム
- 手洗いも有効
感染源
ウイルスを保有しているマダニが感染源となり、猫や犬、人を吸血することでウイルスが移ります。近年の温暖化などの環境変化により野生動物と共にマダニの生息域が北上していると言われています。
ウイルスを持っているマダニ:キチマダニ
森林や草地、平地など広い範囲に生息し哺乳類や鳥類、人を吸血します。活動時期は1年中で、特に春から秋にかけて活動が活発です。
ウイルスを持っているマダニ:フタトゲチマダニ
林や草地、公園、河川敷など広範囲に生息します。主に哺乳類に寄生し春から秋にかけて活動が活発です。
SFTSの潜伏期間や症状は?犬猫と人で異なります。
潜伏期間は6日から2週間と言われています。猫から人への感染ではこれと異なる可能性があると言われています。
出典:国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ
(https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/sfts/index.html)
犬の症状
・高熱
・元気消失、食欲不振
・白血球や血小板の減少
・重症化すると嘔吐や出血、神経症状が見られることも
※致死率:約40%とされています
猫の症状
・高熱
・白血球数の減少
・血小板数の減少
・肝臓の数値の増加
※致死率:約60%とされ、犬より高い傾向があります
人の症状
・発熱
・消化器症状(下痢など)
・全身の倦怠感
SFTSの発生状況は?どの地域に多い?
・2011年に中国で初めて確認され、それ以降東南アジアや東アジアで患者が確認されるようになりました。
日本では2013年以降、西日本を中心に確認され、最近は徐々に東日本の方でも感染が見られ初めています。
出典:国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ
(https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/sfts/index.html)
最近の発生動向
- 2025年5月 茨城県の飼い猫がSFTSに感染し死亡
- 2025年6月 三重県でSFTSに感染した猫を診察した獣医師がSFTSに感染し死亡
SFTSの発生地域
人のデータになりますが、九州から西日本の広範囲で発生報告が出ています。
犬猫の発生もおおよそこの分布に沿ったものになります。
出典:国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ
(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/article/sfts/020/20250523144135.html)
犬や猫を守るには?SFTSの予防法と飼い主ができること
犬猫の飼い主さんは予防薬の投与を行うことが最大の予防方法になります。
毎月1回の予防薬投与でマダニから家族を守ることができます。
また、犬猫を連れて行かなくても人がマダニをつけてきてしまうことがあります。
特に山や草むらなどマダニが生息している可能性の高い場所へ出かける場合、
肌の露出を避けたり、忌避剤を使用しましょう。
SFTSの治療方法は?人と犬猫で違うSFTSの治療法
人|対症療法や抗ウイルス薬を使用
2024年に人の治療薬としてアビガン(ファビピラビル)が認可されました。
犬猫|有効な治療薬なし。だからこそ予防が重要!
犬猫では有効な治療薬はまだありません。アビガンは未承認で有効性はわかっていません。
そのため、輸液などの対症療法がメインの治療方法になります。死亡率も非常に高く危険な病気なので、予防薬の使用が非常に重要です。
まとめ|犬猫の飼い主さんは自分の子たちに予防薬を
SFTSは、人と犬猫のどちらにも感染する、命に関わる感染症です。
今や西日本だけでなく、関東などでも感染が報告されています。
しかし、**毎月のマダニ予防薬の投与でリスクは大きく減らすことができます。**
「完全室内飼いだから大丈夫」はもう通用しないかもしれません。
SFTSを正しく知り、しっかりと予防することが、家族全員の健康を守る第一歩です。
このブログでは、「人と動物が健康で幸せな社会をつくる」という夢のもと、飼い主さんとペットの暮らしに役立つ情報を発信しています。
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