室内飼いでも必要?獣医師が教えるノミ・ダニ予防のポイント

予防薬

動物病院の診察室では、「うちの子、あまり外に出ないんだけど…ノミ・ダニ予防って必要?」というご相談をよく受けます。
この記事では、そうした飼い主さんに僕がいつもお伝えしていることを、できるだけわかりやすくまとめました。
室内飼いでもなぜ予防が必要なのか、そしてどうすれば安心して対策できるのか、一緒に考えていきましょう。


「うちの子はあまり外に出ないけど、ノミ・ダニ予防は必要?」

結論から言えば、完全室内飼育や庭先だけの散歩でも、ノミ・ダニの予防は必要です。

なぜなら、ノミやダニは人間の衣服や靴から家の中に入り込んだり、他のペットとの接触でうつることもあるからです。

一度寄生してしまうと、皮膚炎や感染症の原因になることもあり、「外に出ないから大丈夫」とは言いきれません。

実際、室内飼育でもノミが見つかったというケースは、私たち獣医師の現場でも珍しくありません。

結論|「ノミ・ダニ予防は冬も必要?じつは通年での対策が安心です」

結論から言うと、ノミ・ダニの予防は「一年中」がおすすめです。

最近では、温暖化の影響もあって春や秋だけでなく、冬にもノミやダニが活動している地域が増えています。

また、完全室内飼育のペットであっても、人の衣服や靴から持ち込まれることもあるため安心はできません。

さらに最近では、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のように、マダニが媒介する感染症に人が感染するケースも増えてきています。

*SFTSに関する詳細はこちらの記事をご覧ください→[マダニが媒介するSFTSとは?人も犬も注意すべき感染症

こうした背景からも、ノミ・ダニの予防は季節を問わず「通年」で行うことが安心です。

「ノミ・ダニって冬もいるの?」―油断しやすい季節にこそ注意!

冬でも活動できる環境がある

「寒くなったし、ノミやダニはもういないよね?」

実はこの思い込みが危険です。

ノミやマダニは13℃以上で活動可能と言われています。エアコンの効いた室内や日当たりの良い場所など、意外にも活動しやすい環境が揃っているため、真冬でも完全には死滅しません。

特に都市部では、年中温暖な日が多くなっており、冬の寄生被害も実際に報告されています。

人にも感染する病気を媒介することがある

ノミやマダニは、動物のかゆみや皮膚炎だけでなく、「人獣共通感染症(ズーノーシス)」の原因になることがあります。

代表的なものが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)というウイルス感染症です。

SFTSはマダニを介して人に感染し、重症化や死亡例もある怖い病気として近年注目されています。

つまり、ノミ・ダニの予防はペットだけでなく、飼い主であるあなたやあなたの家族の健康を守ることにもつながるのです。

このように、寒い季節だからといって油断は禁物。

では、どうすればしっかり予防できるのでしょうか?

次は、動物病院でよく使われる予防薬の種類と選び方について解説します。

予防に使う薬のタイプと選び方

ノミ・ダニの予防薬には、大きく分けて2つのタイプがあります。
それぞれの特徴を見てみましょう。


チュアブル(食べるタイプ)

メリット

  • 食べるだけでOK。投与ミスが少なく確実
  • おやつのように喜んで食べてくれる子も多い

注意点

  • 食べムラのある子や、薬の味に敏感な子は食べないことも
  • 食物アレルギーのある子は予防薬の成分によって消化器症状がででしまうことも

スポットタイプ(皮膚に垂らすタイプ)

メリット

  • 食物アレルギーがある子にも使える
  • 比較的リーズナブルなものが多い

注意点

  • 投与後すぐにシャンプーをしてしまうと流れてしまうので注意

どちらを選べばいいの?

それぞれにメリットがあるため、ペットの性格や体質に合わせて選ぶことが大切です。

たとえば、食べるのが好きでおやつに喜ぶ子にはチュアブルタイプがおすすめ。
一方で、食べ物に敏感な子や、皮膚に薬を塗られることに抵抗がない子にはスポットタイプも適しています。

僕は実際にペットの性格や体質を見たうえで、その子に合った予防薬を提案しています。

まとめ|大切なのは「毎月忘れずに続けること」

ノミ・ダニの予防は、「切れ目なく続けること」が最も大切です。

一度でも途切れてしまうと、再び寄生されるリスクが高まってしまいます。

迷ったときは、かかりつけの動物病院で相談してみてくださいね。

「うちの子にとってベストな予防法」を一緒に見つけていきましょう。



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